ご来店頂いた顧客様には年末頃から直接お伝えしておりましたが、今年2024年5月から活動の拠点を一旦ドイツ・ベルリンへ移します。次のサロン出店に向け、準備を進めてまいります。もちろん宮崎のRedbedhead, The Vase, BLUE POST のサロン事業は全て継続致します。
まず初めに、現在ご来店いただいているお客様はもちろん、これまでご来店いただいた全てのお客様と私の事業内で働いた全ての美容師のお力添えにより、次なる挑戦に向かえることを心より感謝申し上げます。
同時に、現在通っていただいている顧客様の髪のメンテナンスを100%私の手による施術はできなくなり、ご不便をおかけすることについて深くお詫びいたします。
ベルリン移住後は出店に向けて走り出しながらも、ある程度の間隔で日本へ帰国できる環境を整えたいと思います。
事業は走り出してみないと見えないことが多いため、現段階では、いつどのくらいのスパンで帰国できるかは不透明ですが、ネット上にはなるべく早くスケジュールや進行状況を告知できるよう努めたいと思います。
私は経営者である前に、1人の美容師です。今回の挑戦にあたって、その視点で長年の美容師経験を振り返ったところ、自分の技術や他のスキルが急速に伸びたと感じる期間がありました。
一つは、つてもなく、もちろん何の後ろ盾もないまま単身ロンドンへ行って美容師の仕事に就いた時。
もう一つは、色々な事が降りかかり、紆余曲折し、弾かれ弾かれ日本への帰国を余儀なくされ、文字通り住所不定無職の状態から、顧客様もおらず、借金だけ抱えて意地でRedbedhead を始めた時。
どちらも共通して言えるのは、自らを背水の陣に追い込んで孤軍奮闘する事により、様々な能力が急速に成長したということです。
そして、それは、きっと今回も同じです。
バネが伸びたと感じたら、縮めないと気が済まない性分です。更なる成長の為にゼロから始めたいと思います。
不安や恐怖心が無いと言えば嘘になります。
しかしそれらを好奇心が上回ってしまう。
ドキドキよりもワクワクが。
出店しに行くのは、経営者としての挑戦という意味もあります。そこには二つの目的があります。
我が国日本は素晴らしい歴史と文化を持っていながら、昨今は政治的にも経済的にも没落衰退してしまい、過去の栄光にすがり付いて昔の成功法を変えようとせず、いつのまにか、ウサギとカメの「ウサギ」と化してしまっているように感じています。
しかし、その時代の中にありながらも、我々日本人美容師の技術レベル、そして各鋏メーカー様、各薬剤メーカー様の企業努力から生み出される最先端の商材は、政治の世界とは逆行し、未だ世界の先進国の中でもトップレベルにあると言えます。
自分が動き、道を拓くことで、私の事業内にいる美容師や海の外に意識が向いている仲間の美容師達の活動の拠点を創り出し、芸術的にもファッション的にも前衛的なヨーロッパの都市と日本のトロピカルな南国宮崎に「美容師の橋」を架けたい。これが、一つ目の目的です。
そして、自分が感じていることですし、自分の周りの美容師もよく口にすることですが、「美容師の仕事は大好きで飽きず突き詰めているけれど、この国における”美容師”としての社会からの見られ方が好きではない」。これが、二つ目の目的に繋がっています。
美容師の社会的な立ち位置がこうなってしまった原因は、過去数十年にわたって商業ベースとなり過ぎたからだと考えています。結果として、美容師は技術職ではなく、サービス業や接客業、チャラいなどのイメージが強くなりました。技術志向な美容師達は社会からの見られ方に対して納得してない部分が大きいです。
それに対し、ドイツを始めとした欧米の文化では、伝統的な職人の仕事、クリエイター、鍛錬された人間達として社会から認められています。同じ職業でありながら、社会全体の中で日本とは全く違う見られ方をしています。
少なくとも自分は後者の立場で働ける社会の方が心地良いです。
そのような違いも、この島国から出ないと経験できないことです。自分が美容室を作ることで、後進に違った角度から自分の仕事を客観視できる機会と場所をたとえ短い期間だとしても提供できれば嬉しく思います。
自分の美容師としての使命は、探究を続け、技術を磨き、お客様を美しく、格好良くすることで笑顔になっていただくことですが、同時にThe VaseやBLUE POST のように、美容師の活躍の場を作るのも大事な使命です。
信念の無い店舗を量産してばらまくのではなく、一つ一つの店舗にしっかりと事業哲学を持たせ、その哲学とライフワークがマッチした美容師にとって最高の場所となるよう、今後も場所作りの歩みを続けて参ります。
次の冒険が上手く行くのか行かないのか正直全く分かりません。ですが、自分の人生に置いて、やらずの後悔をしたくありません。仮に挑戦して大敗したとしても、それは後悔ではなく「経験」として今後の自分の布石となり、人生の礎をより強くしてくれるものだと思います。一美容師の行く末を見守っていただけますと幸いです。
Kohsuke
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メイちゃん🐶は一時的に離れ離れになりますが、状況が整い次第、電車もバスもデパートもワンちゃん同伴でOKな通称”犬天国”のベルリンに連れて行きます。
余談ですが、ベルリンには世界最大(東京ドーム4個分)の動物保護施設があり、もちろん殺処分などという人間の愚かな行為は国内でゼロです。